Kさんの鳥便りNo3

 

キジ、国鳥、愛すべきこの隣鳥は、美し松では一年を通してよく出会う鳥です。雄の派手な色彩も、藪に入ると不思議に回りに調和して、捜すのが難しくなります。雌は地味な茶色で瞳、パッチリで、道端で鉢合わせしようものなら臆病で、さながらエリマキトカゲのように藪に逃げ込みます。冬、我が家の餌台には4年前から雄が来るようになりました。尾羽の先が少し右に曲がっていまして、キジエモンと名付けたのです。

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ヒマワリも細かい小鳥用の餌も良く食べ、友人持参のリス用のトウモロコシの入ったのは好物で、ものすごいスピードで食べつくします。何しろ小鳥と比べたら、あの大きさですから、キジが来ているのに気付かずテラスのドアーを開けてしまうと、その場で身を低くするか、ゆっくりと笹の中に入ってゆき、ドアーを閉めると又すぐ出てきます。とても親しみを感じて、放し飼いしているような錯覚になります。

玄関の左右に餌台があり、キジエモンは右側によく来ていたのですが、左側にいます。


 今日は左かと見ると右にもいて、2羽が来ていたのです。ところがある日、なんと雄3羽が頭を寄せて3鳥会談しているのを目撃しました。そのうちの1羽は大変大きく胸も厚く、思わず、あれはおいしそう!と不謹慎な言葉を発してしまいました。冬、僅かに雪の上に出ているノイバラの枝に、キジが痛そうに乗って赤い実を啄む姿は美しく、いつまでも見とれてしまいます。キジとリスは餌台でよく鉢合わせするのですが、双方そ知らぬふりで食事に余念がありません。気の強いリスがキジを嫌って、背中を蹴って逃げていったときも、何事もなかったように去ってゆくリスを眺めている大物ぶりでした。


 絶え間なく雪が降り続いた早朝、キツネが胸までの雪をラッセルしながらやってきました。キジとリスが来ていたので、大変!捜しましたら仲良くミズナラの上の枝にリス、すぐしたの枝にキジとじっとうずくまって、キツネが去った後も40分くらい、降る雪で真っ白になっても下りてきませんでした。数年前、60年ぶりの大雪といわれた冬は、ほとんどの植物が雪に埋もれてしまい餌に困ったのでしょう、ミズナラに着生したヤドリギの果実を啄んでいました。地上より約15メートルの高さでしたから、見上げてキジを観察したのは初めてでした。

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美し松の鳥便り No3 キジ 2002

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